手に付く赫い液体

ぬるりっと微妙に粘着を帯びていて

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・ッ」

この路地裏まで走ってきて息が苦しいよ

だらだらと流れてくる汗を手の甲で拭うけど、マシにならなくて

その腕も、カタカタと小刻みに震えていた

「大丈夫だ・・・・大丈夫」

あー俺ってば何て弱い心なんだ・・・・

久しぶりだけど、絶対に慣れない肉を打つ感触

・・・・当分夢に魘されそうだな

そんなことを呑気に考えているのが悪かった・・・つくづく俺は運が悪いと思う

ガッ

・・・・・・・ッ!?

後頭部に強い衝撃

一瞬それを感じたが、後は・・・・・

完全にブラックアウト























廃れた廃墟にて行われている―――――――死闘

ボンゴレ10代目こと綱吉とこの事件の主犯六道骸は激しい戦いを繰り起こしていた

ツナの周りに、本物の大蛇が囲う

「ひいぃ!きたぁ!!」

「正真正銘の毒ヘビですよ。なんなら咬まれてみますか」

「そ、そんな!」

大蛇に襲われていく様を可笑しそうに見ている骸

だが、あと少しで咬まれそうになるが・・・・・・

キンッ

風を切る様にまっすぐ骸に向かってきた物体を払い返す音で場は急変した

驚いているツナへとかかる聞き覚えのある声

ソレと共に周りにいた大蛇の群れが、爆発によって一瞬で消滅した

そして姿を現したのは銀髪と黒髪の二人だった

「ヒバリさん!!獄寺君!!」

その様子を見て、口を上げ笑うリボーン

「オレはツナだけを育ててるわけじゃねーんだぞ」

いきなり風向きはツナたちへと変わっていくと・・・・この時は誰も疑わなかった

そう、まさかここに居る全員はあんなことが起こるとは思っていなかったのだ

・・・・・屍の名前を持つ男以外は







獄寺を入り口付近に捨てた雲雀は、おぼつかない足取りで

骸の元へと近づいてゆく

先ほど投げたトンファーをしっかりと握り、構える

「覚悟はいいかい?」

「これはこれは、怖いですねぇ」

口元の笑みを消さぬまま言い放つ

だがその瞳は怯えも、恐れも無く余裕とただただ深い闇だけが映っている

ピリピリっとした雰囲気が辺りへと充満していく

両者どちらもスキを見せることなく言葉を紡ぐ

それをただツナは見ていた



「仕方ない・・・君から片付けましょう。だが、お相手は僕じゃありませんけどね」

「・・・?」

クフフフフフっと意味ありげに妖しく笑う骸

自分が座っていたソファがある方を身体の方向を変える

「出てきて下さい」

誰かへの呼び声が響く、そして・・・・コツ、コツ、とボロボロのカーテンから

聞こえてくる足音と共に姿を見せたのは―――――・・・・



「ん?」

「なッ!?」

「・・・・・・・・!?」

「お前、!!」

リボーン、ツナ、雲雀・・・・そして獄寺が同時に驚きに身を浸したのは

彼らの友人であり、こんな所に居る筈の無い人物・・・だった

「なっなんで、がこんなところに!?」

あまりの驚き具合にツナは眼を白黒させる

それは当たり前の反応だった、ツナの友人で仲の良い彼は

たとえ自分と交友が深い中でも、彼は普通の男子中学生であり

こんな所には間違っても居ない・・・・筈なのだ

それなのに、まるで当たり前のような顔をして自分達の敵である骸の元へと

何の迷いも無く近づいてくる

それも、彼の顔に浮かんでいる表情は見間違いない笑顔なのだ

骸以外が唖然としている中、彼は骸へと近づいていって

自分より低い所にある骸の肩へと慣れた様子で、スルリッと手を回す

「何の用ですか?骸さん」

「クフフ、聞かなくても分かっているのでしょう?」

「まぁ、そうですけど・・・・一応確認をしたんですよ」

その言葉は何時もの口調で声で、だが・・・彼の目に映っているのは骸

骸も自分の後ろに回っている腕にそっと身体を寄せる

そんな二人は話している内容は部下と主人のものだが・・・・

見ようによっては、一番信頼している親友、血を分け合った肉親

そして、恋仲とも見て取れた

そんな様子に骸の前に立っている雲雀は、トンファーを握っている手の力が強まる

果たして、本人は気づいているのか分からないが

「では命令です。此処にいる人間を皆殺しにして下さい」

「はい・・・・・骸さんのお望みのままに」

はにっこりと優しく笑うと、スッと骸から身体を離した

そして・・・・・全ての感情を消し去り暗く冷たい無感情の瞳に雲雀を映す

それは以前雲雀に向けられていたモノとはまったくの別物だった

自分の敵、邪魔なものに向けられる冷血的な眼差し

誰かが息を呑む音が聞こえた

「・・・・・君、何をやってるか分かってんの?」

「はぁ?何言ってんだよ」

「アイツに・・・何かされたみたいだね」

「骸さんを『アイツ』呼びなんてしないでくれる?ムカつくんだけど」

「・・・・・・・・ッ」

の手には骸の槍が納まっていた

ギリギリっと雲雀の手の力が強まっていく

同じ顔で、声で、姿で・・・・・・・だが全てが違う

今までツナ達へと向けられていた、明るく力強く慈愛にも似た温かい眼差しは

今、骸唯一人へと注がれる



一歩、一歩雲雀へと近寄り止る

ひゅんっと戸惑いもなくは槍を構えた

「さぁ、ゲームを始めようぜ?」







は残虐にも似た狂気的な笑みを顔に浮かばせた