それは、それは
死にも似た甘く香りたちつつ迫ってくる
逃れられなかった・・・・
――――――――――――罠・・・
いつもの日常、普通な時間
そう・・・・
何も変わるはず、なかったのに
「ボクはあんたが、大嫌いだよ」
そこには残酷なほど無邪気な笑みを浮かべた君が居て
昼下がりの午後
いつものように、応接室で書類の整理をしていて
君は呑気にソファで寝ていて
特に変わった事なんてなかった
ふと、一瞬君の気配が消えたかと思って
顔を上げてみればまだ静かに君は寝息をたてていて
何処か、ほっとして止まっていた手を動かそうとした矢先
君にとても似ていて、君にとても似ていない気配が部屋に充満した
そして、さっきの通り
いつもの優しい笑みと、心地よい声と、見慣れた姿
だが、どれも君とは異なる
全て似ていて、全て似ていない
ゆっくりと此方に向かってくる、君にとても似た『別人』
そう―――・・・全て君なのに目の前にいるのは『別人』だと脳が発している
「・・・?」
「ボクは、お人よしで、仲間が好きで、お前を一番大事に思っている
『』とは残念だが違うっと思うケド?」
「・・・・二重人格ってやつかな?」
「正式には、解離性同一性障害。まぁ・・・ボクの場合は六道骸のマインドコントロールが
引き金になって、元々の中に居た『ボク』が目を覚ましただけだけどね」
嫌に五月蝿い心臓と、冷や汗が米神を伝わり落ちてくる
誰だ、これは
一瞬だけ背筋が震えた
まさか・・・・目の前の奴に僕は恐怖を感じているのか?
「さて、そこで本題に入ろう」
「・・・なに」
「ボクは君が大嫌いだ」
「、から離れてもらいたいんだ」
そいつはの顔を使って、の声を使って、の体を使って
は絶対に言わないことを、軽々と言った
「本当は死んでもらいたいぐらいだけど・・・それじゃぁ可哀想だしね
あ、大丈夫。の記憶からは君の事綺麗に消しといてあげるよ」
これで躊躇なく、の前から消えられるだろう?
悲シム人何テ居ナイノダカラ
嗚呼
今日は何も変わることなく過ぎて
平穏に終わるはずだった、日常
そう・・・・・・
ただの、日常で、終わるはずだったのに
招いたのは、悪魔
聞かされたのは、死の宣告
ふと視線を落とせば、そこにはぱっくり深い闇